日曜日は久しぶりに遊びに出かけ、銀座にあるレストランに足を運ぶことにしました。

ちょうど中国の「中秋の名月」というお祭りだったので、この祭りにふさわしい食事を楽しもうと思い、友人に勧められた東アジア風の料理屋を選びました。友人は「店の雰囲気も味も上品」と言っていました。

第一印象はとても銀座らしく落ち着く、ユニークな雰囲気が漂う店でした。恐らく100人以上のお客が収容できるお店は、想像よりも空いていました。料理を注文すると、笑顔が素敵な女性スタッフが現れ、さっそくお酒と料理を注文しました。

しかし、最初の一品料理を出された後、スタッフのサービスが途絶えてしまいました。しばらくすると、私たちの存在を忘れられたのか、一向に注文したお酒が運ばれてきません。テーブルにある呼び出しボタンを押しても、誰も応えてくれませんでした。

途中、隣のテーブルにドリンクを運んでいたスタッフに、「私たちにも注文したお酒を持ってきていただけますか」とお願いしてみました。すると、相手は何度も頭を下げて「申し訳ございません」と謝り、その場を離れました。しかし、一品料理はすでに冷めてしまっていましたが、肝心のドリンクは一向に運ばれてきません。

テーブルにある呼び出しボタンを4回ほど押してみましたが、反応がありません。料理場に向かって鳴り響く音は、周りの騒がしい店内ではすぐにかき消されてしまいました。

時計を見ると、すでに30分が経過していました。注文した料理が出てこないのは仕方がないとしても、お酒も提供されない状況は初めて経験しました。

我慢できなくなり、厨房のカウンターに直接向かい、店長らしき30代の方に声をかけました。「お酒を注ぐのに、3分もかからないでしょう、なぜこんなに待たなければならないのですか」と。相手はただ頭を下げて「申し訳ございません」と繰り返すばかりでした。

「今度こそ来るだろう」と期待しましたが、10分が経っても誰も現れませんでした。

もう一人の女性スタッフを呼び止め、「店長の方を呼んでいただけますか」とお願いしましたが、やはり謝る言葉ばかりで、その場を離れてしまいました。隣の席の若い客は、私よりも積極的に対応し、自分でグラスを持ち出して、勝手にドリンクのサービスを始め出す始末です。

信じられない光景でした。これが銀座の店と言えるのでしょうか。もう食べる気は全くなくなり、怒りで心が満たされてしまいました。

もうこれ以上待つのは無駄だと判断し、店を後にすることにしました。お酒も提供されず、40分もの時間を無駄にしたことに、苛立ちを感じていました。

帰る際、店長に声をかけ、今回の出来事について不満を伝えました。店長は私たちが店を出ようとしていることに気づき、ようやく事態の深刻さを理解したようです。そして、店のエレベーターまで追いかけてきて、深く頭を下げて謝罪しました。

「誠に申し訳ございません。本当にごめんなさい。」と、何度も頭を深く下げながら、私たちがエレベーターに乗り込むまで、その場で立ち尽くしていました。

そのとき、私はハッと気づきました。彼が何度も頭を下げて「申し訳ございません」と繰り返す姿を見て、私はまるで、相手に対して理不尽な要求を突きつけ、彼の丁寧な対応さえも拒否したような、傲慢な人間に見えていたのではないかと。

私は完全に打ちのめされました。彼の紳士的な態度に比べ、自分の醜い部分が露呈してしまったような気がしてなりません。

日本では、ひたすら謝れば、全ての責任追及を免れることができるように感じます。相手の謝罪の前では、これほど無力感を感じるのは初めてでした。

謝罪という強力な武器があれば、どんな状況でも無敵になれるのかもしれない、そう思わされた瞬間でした。